今日はジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)の最後のアルバムにして80年代、ポストパンクの最重要アルバムの一つとして評価されるクローサー(Closer)について整理したいと思います。

クローサー(Closer)

ジョイ・ディヴィジョンのセカンドアルバムとして、リードボーカルであるイアン・カーティス(Ian Curtis)が自殺した2ヶ月後の1980年7月にリリースされました。イアン・カーティス及びその自殺については、本ブログの下記投稿も参照下さい。

アルバムタイトルの”Closer”には、「閉じるもの」及び「より近い」という意味があります。ジャケットは、マーティン・アトキンス(Martin Atkins)とピーター・サヴィル(Peter Saville)によってデザインされたものでイタリアのジェノヴァ、スタリェーノ墓地(Monumental Cemetery of Staglieno)にあるアッピアーニ家の墓所の写真が使用されています。奇しくもこれらのタイトルやアートワークはイアンの死を予感させるものでピーター・フックは「事実をすべて知ったとき、このアルバムを見返して、何もかもに鳥肌がたってしまった」と語っています。(ウィキペディア引用)

アッピアーニ家の墓所

自殺直前にレコードされており、イアン・カーティスの当時の心情が生々しく現れています。他のメンバーはもっと一般受けする”売れる音楽”を作りたがったそうですが、プロデゥーサーのマーティン・ハネットはそんなイアンの理解者であり、彼に寄り添って音楽を作成したそうです。よって本アルバム作成時には、他メンバーとプロデゥーサーの間には相当な溝があったようです。

正直私はこのアルバムより、暗いアルバムを知りません。これほどまでに絶望的で圧倒的に暗いアルバムは他にないと思います。特に最後の三曲は強烈な暗さを持っており、海外のレビュー等をみると、”とことん落ち込みたい時に聞く曲”、”このアルバムの歌詞が自殺願望のある私の唯一の理解者”、”このアルバムを通して死に近づく”、”このアルバムを通してイアンの苦しみを知る”、”ある種の悩みの解決は死によってのみ”等と強烈なものが続きます。。。

日本ではあまり有名なアルバムではありませんが、ローリングストーン誌の”500 Graeatest Albums of All Time”では157位、NME誌の投票では、1980年代のベストアルバムに選ばれています。

本アルバムに収録されている曲は二回に分けられて作られています。”Atrocity Exhibition”, “Passover”, “Colony”, “A Means to an End” and “24 Hours”.の4曲は1979年の後半に、”Isolation”, “Heart and Soul”, “The Eternal” and “Decades”は1980年代初めに作られ、よりシンセサイザーが多様され、ジョイ・ディヴィジョン独特の暗い曲調に仕上がり、歌詞も一層暗さを増しています。参考に最も評価が高く、暗い”エターナル(The Eternal)”、”10年間(Decades)”の二曲の歌詞を和訳してみました。

エターナル (Eternal)
10年間 (Decades)

Eternal  永遠

Procession moves on, the shouting is over,

Praise to the glory of loved ones now gone.

Talking aloud as they sit round their tables,

Scattering flowers washed down by the rain.

葬儀の列が進み、悲しむ声が止む

愛されし者の栄光を讃えよ

テーブルを囲み、騒がしく話す

まばらに添えられた献花が雨に濡れる

Stood by the gate at the foot of the garden,

Watching them pass like clouds in the sky,

Try to cry out in the heat of the moment,

Possessed by a fury that burns from inside.

僕は門の側で立ち尽くす

葬儀の列を流れる雲のように見つめながら

急に胸が熱くなり、泣こうとする

内側で燃えさかる怒りに取り憑かれながら

Cry like a child, though these years make me older,

With children my time is so wastefully spent,

A burden to keep, though their inner communion,

Accept like a curse an unlucky deal.

子供のように泣く、だがここ数年で僕は年をとった

僕の少年期は全く無駄な時間だった

重荷を抱え続け、人と心を通わせるどころか、

呪われた人生だと受け止めた

Played by the gate at the foot of the garden,

My view stretches out from the fence to the wall,

No words could explain, no actions determine,

Just watching the trees and the leaves as they fall.

門の側にただ立ち尽くす

私の視点はフェンスから壁となる

何とも言えず、何もできない

ただ木々と落ちる葉を眺めるのみ

自殺した自分の葬儀を想像し、やはり死ぬ以外に選択はなかったと思い返しているのでしょうか。本当の歌詞を意味するところはイアンのみぞ知るところです。

Decades 10年間

Here are the young men, the weight on their shoulders,

Here are the young men, well where have they been?

We knocked on the doors of Hell’s darker chamber,

Pushed to the limit, we dragged ourselves in,

ここに若い男がいる、重荷を肩に背負っている

ここに若い男がいる、彼らはどこにいたの?

私達は地獄の部屋の扉をノックした

耐えられず、自らを中に引き込んだ

Watched from the wings as the scenes were replaying,

We saw ourselves now as we never had seen.

Portrayal of the trauma and degeneration,

The sorrows we suffered and never were free.

シーンが再生されるのを舞台袖より見る

今まで見たことない自分自身を見たんだ

トラウマと退廃の描写

悲しみから絶対に逃げられない

Where have they been?

Where have they been?

Where have they been?

Where have they been?

彼らはどこにいたの?

彼らはどこにいたの?

彼らはどこにいたの?

彼らはどこにいたの?

Weary inside, now our heart’s lost forever,

Can’t replace the fear, or the thrill of the chase,

Each ritual showed up the door for our wanderings,

Open then shut, then slammed in our face.

酷く疲れ、心は永遠に失われた

恐怖、スリル、追及には変えられない

それぞれの儀式は、放浪への扉を見せつける

開いて閉じて、そして顔にぶつかった

Where have they been?

Where have they been?

Where have they been?

Where have they been?

彼らはどこにいたの?

彼らはどこにいたの?

彼らはどこにいたの?

彼らはどこにいたの?

これも重荷に耐えきれず、自殺を選択する若い男を描いた歌詞でしょうか。

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